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沈みゆく道 1 [ドライブ]

福岡市の南部には 『筑紫郡那珂川町』 と言う町があります

実は「筑紫郡」は「那珂川町」しか存在していません
当初は現在の福岡市の一部も含んでいましたが
それぞれ福岡市に編入されたり
「春日市」「大野城市」「太宰府市」「筑紫野市」と「市」になってしまい
最後に残った「郡」なのです

この町では、今、二大土木事業が行われています
その一つは「九州新幹線」の『筑紫トンネル』 そして・・・・

 

 

R385は起点を柳川市終点を福岡市博多区に持つ
福岡―佐賀を結ぶ幹線の一つです

昨年開通した『背振トンネル』のおかげで、ずいぶん峠を越えやすくなりました
おかげで、福岡側にもこんな標識

道は迫る山脈に向かって上っていきます


左側の道は途中にある、「九千部」への分岐 
登って途中には「平等寺」や「河内ダム」への道もあります

右に行ってすぐ、九州電力、南畑発電所(水力)

明治44年から発電を開始している歴史ある施設です
建物が、明治の建物かどうかはわかりませんでしたが
電力は福岡市の路面電車の動力にも使われたとのことです

このあたりから、右手の渓流が「筑紫耶馬渓」と呼ばれています
昔から、福岡市民の避暑や紅葉観光に親しまれている渓谷です

道はいくつかカーブを擁してぐんぐん登っていき、視界が開けると『南畑ダム』です

1965年竣工、かんがい用水の補給と浄水の補給
那珂川氾濫の防止のための調節に役立っています

福岡は一級河川を持たない、政令指定都市ですが 
そのまわりにあって二級河川 那珂川という水源を持つ
春日那珂川水道事業団の地域は渇水による断水は無かったぐらい
水とのかかわりが深い町になります

ダムサイトを回り込むように、R385は続いていきます
貯水池が終わると、再び道は登り 

やがて伐採された斜面が左手に見え出します
そして県(福岡・佐賀共)136(入部中原停車場線)との交点が見えると
手前にダンプ入口が

(写真は反対側からみた、ダンプ入り口 大野橋の向こう左手)

二大土木事業の一つ ここは『五ケ山ダム』の建設現場です
完成後はこのあたりも水底に沈む運命の道なのです

ここにある西鉄バス停は「佐賀橋」といいます

もちろん、橋が存在

ナゼに「佐賀」??? 

通常、山にある県境などは、山の尾根や峠が一般的ですが
この県境、峠のすいぶん手前に存在しています
これは、昔々、黒田藩と佐賀鍋島藩が、「国境争い」をした名残で、県境も当時のままだそうです
先ほどの「大野橋」がかかっている那珂川が県境
今立っているのは佐賀県吉野ヶ里町(旧東背振町)

実は、数年前まで、「ココから佐賀」という事実を見逃していました
峠(坂本峠)が県境だと思い込んでいたのです 
のんきに「佐賀が近いから佐賀橋なのかなぁ??背振を越えると佐賀だし…」と(笑)

右折して佐賀橋を越えて進みます

左手は『小川内小学校』 跡地 

ここは平成17年10月16日、離村式と小学校の廃校式が行われた場所です
その歴史、なんと130年! 
最後は生徒さんがいないまま、村人たちの手で保存されていたとのこと

先ほどの大野橋からも見えていましたが、R385付け替え道路の橋脚がそびえ立っています

工事状況はどんどん進んでいますので、まだまだ変わっていくと思いますが
もう少し早くから思い立っていれば、昔の名残の風景も写真に収めることができたかもしれません

そして、左手に「山祇(やまずみ)神社」 
以前から存在するのは知っていましたが、上がったことがなかったので
今回、登ってみることにしました 

登ると正面に本堂

左手に『佐賀県天然記念物 小川内の杉』


見事です、根株が二股になっており夫婦杉の形です、脇に一回り小さい杉がありました

この神社も、ダム完成後水の中に沈みます
現在、杉の移植を切望して、佐賀県、福岡県で協議されているようですが、結論は出てないようです

ここを尋ねた方のブログを拝見すると、そのほかにもメタセコイヤやアカガシがあるとのことです


裏側に“昭和28年9月20日 落成”とありました
“改築”とありますから、建てられたのはもっと古いのでしょう

このあたり、小川内と言う名前の20軒を越える集落でしたが
ダム建設に伴って移転となった集落です、

1軒だけ建物が残っていました、お寺か、公民館か?

工事が進んでいる右手(福岡側)斜面にも、10軒強の民家があったかと思います
そちらは五ケ山集落、地理的には小川内と一体化した集落だと思いますが
真ん中を那珂川が走って、それが県境 
福岡県側の五ケ山小学校は南畑ダム完成の1966年、南畑小学校(南畑発電所より下)に
統合されてしまったようですが、このあたり子供たちは通っていたのでしょうか?

この斜面も 伐採と造成が進んでいます

さすがに、昨今ですから、伐採した樹林は有用に活用するらしいです

少し登っていくと、今回の目的の一つが見えてきました

一部でのブームに乗り遅れまいと、目指したココ

森のパン屋『せふりの』                        の跡地です…(^^;
リンク先、TOPの絵の建物が建ってました

終わってしまった「どっちの料理ショー」で
“パン・ド・カンパーニュ”というパンが特選素材として紹介されたことがありました
今の店では売っているんでしょうか?

実は、『響さんのブログ』を見るまで、移転したことを知りませんでした

しかも、一号店が「背振トンネル」を越えた
ループ橋の下『さざんか千坊館』にあるということも…
『平戸ルート』のとき、立ち寄ったのですが気付きませんでした

むかいの「五ケ山豆腐」は、いまだ営業中 このあたりがダム湖の端に当たりそうで
いずれ移転されるのかもしれません、隣にあった「森のそば屋 五ケ山」はなくなっていました

振り返ると、水に沈んでいくであろう景色が広がっています

(左手が“せふりの”跡地)

もうすこし、道を進みます

森の中で活動中の、孤高のクレーン

キリンの首みたいです

このあたり、杉の木がたくさん、見事に赤いです・・・・

“杉花粉症”の方を襲うべく、準備中(^^;

幸い、自分は“アレルギー性鼻炎”ですが、“スギ花粉症”ではないため
まだ、この地に立ってのんびり写真なんか撮ることができました
もっとも、喉はなんとなくゴロゴロしてましたが…

左手に「背振少年自然の家」入り口が見えてきました
そろそろUターンします
                            つづく


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テトラ

筑紫耶馬溪は、子供の頃は良く遊びに行ってました。
渓流で泳ぐのが最高に気持ち良いんですよね。
小川内の杉<これが沈んでしまうなんて、実にもったいないです。
でもこの巨大さだと、移植も大変そうですね。
その後根付くかどうかも問題だし…生き長らえて欲しいですが。
R385は以前はしばしば通ってましたが
背振トンネルが出来てからは一度も行ってないんですよ。
春になったら探索してみようかな。
by テトラ (2008-02-23 00:30) 

T2

☆テトラさん おはようございます!

あの渓流は気持ちいいですよね~
僕も子供の頃何度か遊びに行きました

「小川内の杉」はおっしゃられるとおり、移植はたいへん難しいと思います
だからこそ、なんとか生きながらえて欲しいです。

背振トンネルは、少々その通行料金が気になりますが
便利になりました、「さざんか千坊館」からの佐賀平野の眺めは
見事ですよ!
by T2 (2008-02-23 07:10) 

エスねら!

平地になんか住んでるとこういう景色がとっても憧れなんですが
そうなんだぁ、新しいダムってまだ作られてるんですね
巨大ダムとかなら平気なんですけど
山奥にひっそりある入り組んだダム湖ってなんか怖いんですよねぇ

景色からして相当巨大そうな予感!
by エスねら! (2008-02-24 18:37) 

T2

☆エスねら!さん こんばんわ!

そうなんですよ、福岡近郊は渇水のせいもあってか
ここ20年ぐらいで2つダムができてます
この「五ケ山」で3っつめ、ほんとにいるのかどうか・・・?

山奥のダムは、たしかに不気味です(^^;
by T2 (2008-02-24 22:31) 

響

村が沈んじゃうって寂しいですね。
せふりのが無くなったら「あれ!?」こんな殺風景なところだったっけ?
って感じですね。
当たり前の風景が無くなるって寂しいです。
by (2008-02-29 20:16) 

T2

☆響さん こんばんわ!

ダムなんかじゃなくても、限界集落は多いらしいので
全国で相当の村がなくなっているんだと思います

「せふりの」の跡地は、さびしい風景でした
雰囲気のある建物だったんですけどね・・

by T2 (2008-02-29 21:48) 

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